TDA1541A搭載CDプレーヤー専用クロックモジュール


- 往年の銘機の真価が今明らかに -

 

標準仕様*


型式:SAA-OSC11


発振周波数:11.2896MHz

出力レベル:3.3Vpp

電源電圧:5V

寸法:33mm×20mm×8mm


本体価格 33,000円(税込)

取付作業料 27,000円(税込)



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  1. * 仕様ならびに外観は予告なく変更する場合があります。



お問合せ先:

suion@soundstage.jp

TDA1541Aやスイングアームメカで一斉を風靡した

フィリップス/マランツ系のCDプレーヤーは、

その音楽性溢れる再生音故に登場から約30年を経た今もなお

中古市場で根強い人気を集めています。

一部の機種については弊社DAC製品に好適なトランスポートとして

推奨しております通り

そのベース部分は現在でも通用する実力を備えています。


これらの銘品に何かを加えて完成度を高めるとしたら、

その筆頭は近年長足の進歩を遂げたクロック技術でしょう。

クロックタイミングの揺らぎ(ジッター)がオーディオ信号を変調して

可聴帯域内に歪みを発生させてしまうことは良く知られています。

幸い現在では30年前に比べ、

桁違いにジッターの少ない水晶発振器が開発されていますので、

これを用いることで元々優秀なDAC部のポテンシャルを

フルに発揮させることが可能となります。


本モジュールに採用のCrystek社製水晶発振器は、

単に業界最高水準のスペックを誇るだけでなく、

機器に実装された状態で低ジッターを維持する高い実用性能を備えています。

更に本モジュールでは、これを超低雑音電源で駆動することにより、

ヴィンテージCDプレーヤーのウィークポイントを補って余りある性能ブーストを

実現いたします。

○実はSAA7220専用です


往年のフィリップス/マランツ系のヴィンテージCDプレーヤーでは、

SAA7220というチップをTDA1541Aとペアで用いることが定番化していました。

このためページトップのような見出しとなってはおりますが、

厳密には本モジュールはSAA7220専用のクロックモジュールです。


このSAA7220は大変忙しいチップでして、

・読み取りエラー訂正

・音量調整

・デジタルフィルター

・デジタル出力(SPDIF)信号生成

・クロック生成

等々のタスクをこなします。


これは単一チップに多くの機能を詰め込みすぎというものです。

特に高周波且つ大振幅のクロック信号生成は重労働なので、

本モジュールにてその労苦から解放しチップ内を静穏化することには

単なるクロック性能のアップにとどまらない大きなメリットがあります。

○最短距離でのクロック注入


クロック信号は0Vと例えば5Vの間で振幅する信号なので、

基準である0Vが動いてしまえば出力電圧も揺らいでしまいます。

そして電圧の揺らぎはジッターに直結いたします。

何故なら、クロック信号の立ち上がりには勾配があるため、

振幅方向の変動が時間軸方向の変動も生んでしまうからです。


この不都合な直結関係を解消するには、

クロック信号が垂直に立ち上がるか、

正確な0Vを伝送するか、

になりますが、

どちらも限界がありますので両方の合せ技で理想に近付くしかありません。 

そして、この0Vを正確に伝送する最良の方策は、

距離を置かないことです。


高周波信号は波長で変動する信号ですから

距離に応じて電位差が生ずることは不可避です。

電気回路の0Vラインをグランド(地面)と呼びますので、

あたかも盤石の安定性があるかのような印象を受けますが、

高周波が流れる0Vラインは、むしろ波打つ海面の様相となります。

クロックのような高周波信号の伝送とは、

波間に揺れる2艘のボートの間でキャッチボールをするようなもので、

上下に揺れると同時に前後にも翻弄され、

受け渡しのタイミングがずれるのがジッターです。

○施工につきまして


本モジュールの取り付けは、

送料お客様ご負担にてCDプレーヤーをご送付頂き、

弊社にて取り付け作業の後、

着払いで返送させて頂く形が基本となります。


大切なヴィンテージ機を旅に出すのがご心配なお客様には、

出張作業にて対応させて頂きます。

通常の作業料金に加え出張料金が発生いたしますので

金額については、お問い合わせください。

往復の交通費(東京都内は無料)に

移動時間料金(単価3,300円税込)を加算してのお見積りとなります。


また本品は、

CDプレーヤー分解と再組み立ての知識をお持ちのお客様向けに

モジュール単品でも販売いたします。

SAA7220上への取り付け手順については、

同梱書類並びにこちらをご参照ください:

→取り付け手順書へ


取り付け自体は6箇所のはんだ付けと不要部品の切り離しで完了いたします。

○対応機種


→対応機種一覧へ


上で述べましたように本モジュールは、SAA7220を搭載した

フィリップス/マランツ系のヴィンテージCDプレーヤー専用です。 


このため、TDA1541Aを搭載したCDプレーヤーであっても、

SAA7220を搭載していない機種には適合いたしません。

具体的にはソニー、ティアック、ヤマハ等の製品がこれに当たります。


逆にTDA1541Aを搭載していない機種であっても、

SAA7220を搭載していれば取り付け可能です。

例えばフィリップスのLHHシリーズはビットストリーム機ですが、

LHH300とLHH500だけはSAA7220を搭載していますので、

本モジュールが適合いたします。

(同シリーズ中で例外的にTDA1541Aを搭載するLHH1000は、

 もちろん本モジュールを搭載可能です)


尚、STUDER、REVOX、QUAD、B&O、マイクロ精機、等々の

フィリップスの設計を踏襲した他社製品やOEM製品にも

本モジュールが適合いたします。


→対応機種一覧へ


ご愛用のプレーヤーへの取り付け可否がご不明の場合には、

下記までお気軽にお問い合わせください。

では具体的にどの程度の海面の揺れが問題なのかと申しますと、

見過ごしてしまいそうな小さなさざ波が見過ごせない問題を引き起こします。

例えば、クロック信号が1ナノ秒で1V立ち上がるとしますと、

これはスルーレートにして1000V/usと、

民生用機器では希なレベルの急峻な立ち上がりですが、

これほど垂直に近い立ち上がりのクロックであっても、

1ピコ秒あたりの電圧変化は1mVに過ぎません。

すなわち、逆に伝送経路の0V(グランド電位)に僅か1mVの揺らぎがあれば

1ピコ秒のジッターが発生してしまうこととなり、

最先端クロックのサブピコ秒(フェムト秒)のジッターが台無しになります。


信号ラインに1mVの外来ノイズが乗った場合も、結果は全く同じです。

しかもこれは理想に近い急峻な立ち上がりのクロックを想定した場合ですから、

垂直性の足りない正弦波や擬似正弦波のクロック波形であれば、

桁ちがいにジッターが悪化してしまうこととなります。


しかし、互いのボートをピタリと接舷させて括り付けてしまえば

安定にキャッチボールをすることが出来る筈です。

つまり、最短距離で接続される本モジュールの装着形態であれば、

伝送前後の0Vを正確に保ち、

電位の揺らぎに起因するジッターを効果的に抑圧することが可能なのです。

○理想的な搭載形態


本モジュールは、装着形態等の機械的仕様から電気的仕様まで、

全てがSAA7220との組み合わせに最適化された専用設計となっています。

SAA7220と同じ33mm×20mmの小さなフットプリントにて

その上にピタリ納まり、そのクロック生成機能を置き換えます。

厚さも僅か8mmなので、

例えばCD95のようなチップ上の空間に余裕のない機種にも取り付け可能です。


そしてこのコンパクトな装着スタイルは、

SAA7220への配線距離を僅か数ミリにとどめ

電気的にも最良の結果をもたらします。